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赤ちゃんの動きで、最適な動作を学ぶ室伏広治さん

 

室伏広治さんがスポーツ庁長官になられるとのニュース。以前、NHK「アスリートの魂」で放送の「限界を超える ハンマー投げ 室伏広治」。番組にご出演の金メダリスト 室伏広治さんのお話がおもしろかったです。

 

「赤ちゃんの筋肉の動かし方が最も無理なく効果的」


運動での故障、怪我の原因。無駄な力み、体の負担となっている無理な動き。体の使い方を再構築、自分をリセットするために到達したトレーニング方法が「赤ちゃんの動き」というお話でした。

 

投網をトレーニングに取り入れたりと、機械的にただ反復するだけの練習を嫌う室伏さん。とてもおもしろい発想ですね。体が求める感覚を素直に追求して、原点の「赤ちゃん」にまで戻る。イメージは「生まれたての室伏さん」でしょうか。筋肉隆々の室伏さんが、赤ん坊を意識、不要な筋肉を使わないというギャップにびっくり。

 

なので、「アインシュタインの眼」のDVDを見たら、室伏さんの求めていたものが、こういうことだったのかと、とても勉強になりました。

 

 

 

アインシュタインの眼 赤ちゃん 運動発達の神秘 [DVD]

出演:古田敦也, 掘ちえみ, 三須亜希子, 小西行郎
実験・検証:長谷川武弘, 木村順, 細田耕
実験協力:おおぎ第二保育園, 村田産婦人科クリニック, 科学技術振興機構, ERATO, 浅田プロジェクト

 

生まれてから立って歩くまでの成長。体の使い方の変遷。二足歩行へと段階ごとに変化するメカニズムを分析。

 

「はじめての寝返り」

「ずりばい」

「はいはい」

 

赤ちゃんが歩けるようになるまでに、「どのように筋肉を使えるようになっていくのか」の記録映像がおもしろい。

 

なかなか寝返りができずにコロンコロン。苦戦している赤ちゃんの姿がとてもかわいいですね。はじめて寝返りする貴重な瞬間。微笑ましさで胸いっぱい。見てるだけで力が抜ける癒しの映像でもありますね。

 

寝返りができない赤ちゃん。

寝返りができるようになった赤ちゃん。

決定的な違いは「筋肉の使い分け」にあるそうです。

 

筋電図のデータによると、寝返りを習得していない状態では、腹筋や背筋など全体的に筋肉を使ってる。でも、寝返りができるようになると、必要なときに必要な部分の筋肉だけ、タイミングよく使えるようになっていました。すべての筋肉に力が入っていると寝返りができない。無駄な力みが、転がる動作を妨げているのですね。


ちなみに、生後三ヶ月くらいで、頻繁に自分の足を上げるようになったら「寝返り」を始めるサインらしいです。自分の足を「見て」「触って」「動かして」確認。「これは自分の足だ」ということを認識しているらしい。

 

腕を使って寝返りするお子さんもいるそうですが、基本は揚げた足を横に倒すことで寝返りをうつとのこと。撮影の子は七日くらいで寝返りができるようになってました。


「はいはい」は、生後6ヶ月から1年の短い間にしか行われないものらしい。頭の重さが全体重の4分の1、頭と体のバランス、手足の短さといったアンバランスなプロポーションの赤ちゃんには、理に適った動きだそうですね。

 

大人の頭部は体重の10分の1。司会進行の古田さんが、20キロの重さの着ぐるみを頭に装着して赤ちゃんを体験。まるで赤ちゃんが初めて立ったときのようにヨタヨタヨチヨチ。

 

「これは赤ちゃん大変だなぁ。たしかに大変。赤ちゃんすごい。やっぱ無理」

 

体を鍛えられている元プロ野球選手の古田さんでも、とても不安定な状態なのが印象的な映像。


「ハイハイ」は、速く動けるようになるにつれて、足の親指で推進力を得ている。最初は足の甲を擦っていて、しっかり親指で地面を押し出すようになっていく。

 

「足は親指、手は小指」という武道の言葉。赤ちゃんの頃から足の親指がポイントということでしょうか。ハイハイは、足の親指を使う準備期間なのかもしれないですね。

 

立って歩く二足歩行の状態。赤ちゃんは両手を広げるようにしてあげて、足先を外に向けて頭の重みとバランス。その足先の向きが重要だそうです。外向きに蟹股になっていることで、足で地面を蹴らなくても、腰を捻らなくても、左右の揺れで前進することができるとのこと。

 

足はバランスを支えることに専念して、左右の重心移動で歩く感覚。だんだん腰のねじりが使えるようになって、左右のブレが少なくなって、歩幅が大きくなって、歩数が少なくなる。私たちが歩いている「歩行」に至るまでには、いろいろな状態を経ているのですね。

 

無意識で歩んできた道のりを、意識してやり直す。室伏さんのアイデア、体の使い方を見直すことになるのだと納得です。

 

TBS「サワコの朝」さんにご出演されたときの室伏さん。「練習のしすぎは害になる」というお父上(室伏重信さん)のトレーニング方針というお話。「目先の小さな結果にとらわれてやっても記録は下がるだけ。将来記録を狙うためには害にすらなる」という指導の注意点が興味深かったです。筋肉を酷使すれば結果はでるというものではない。

 

筋力は使えばいい。筋肉は鍛えればいい。今までを否定してくれる赤ちゃんの動き。筋力を使わないこと。筋肉を鍛えないこと。無理と無駄、何が必要で何が不要なのか。赤ちゃんの期間ってでほんのわずか。忘れてしまって、気にしてもないですもんね。室伏さんの言葉、とても興味深いです。スポーツの振興、選手強化、長官としてのご活躍に期待です☆