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美しい所作には「中心」がある?

 

三船久蔵十段。身長159センチの小柄な体格で、大男を投げ飛ばす柔道の神様。「空気投げ(隅落とし)」で有名な武術の達人。「押さば回れ、引かば斜めに」の格言は、球になることを述べた極意。「球の型どり」など球体についての言葉が興味深いです。

 

 

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三船久蔵

 

球になるためには「中心」の意識がポイント。以前読んだ、整体の本にありました「中心」のくだりがおもしろいです。

 

 

全身の運動は、いうなれば球体の運動の如くならば理想的であろう。ということは重心が中心に一致していることである。

 

人体においても体の中心部に重心が安定していることが理想なのであって、中心から重心が外れるほど運動は円滑にできにくいことになる。

 

生体の歪みを正す―橋本敬三論想集 

 

 

人体の中心は「臍下丹田」と呼ばれる下腹部の中心で、「腰椎IIIと臍と肛門の三点の中心」との解説があります。 丹田を支点とした運動が最も優美なフォームになるというお話。

 

ボールが綺麗に転がるのは中心が真ん中にあるから。中心が偏るとゴロンゴロン。紙コップの内側、フチに粘土をくっつけて回るおもちゃのようなイビツな回転になりますね。

 

武芸、茶の湯、お華、座禅。「道」に通ずる所作は「力の出入りが丹田に集約されることが理想」とのこと。立つ、歩く、座る。美しい動きには中心があるのだと感じました。

 

三船久蔵さんの投げ技。モノクロですが映像で見られて嬉しい。中心と重心の一致。無理無駄なく、球が転がるようなスムーズな体重移動。宙を舞う大男。とても美しいです。

 

 

 

生体の歪みを正す―橋本敬三論想集 

橋本敬三