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空気の重さは温度で変わる?

 

 

 

風が吹く根本的な原因は、前節で説明したような水平方向の温度差にある。この問題は気象学の最も基本的な問題なので、海陸風という身近な現象を例に説明したい。

 

日本の夏の海岸付近を考えると、昼では陸上は太陽光に照らされ温度が高くなる。それに対して、海上では海の水の影響でそれほど温度は高くならない。つまり、水平方向に温度差が生ずる。


温度の高い空気は膨張し、その結果として密度が小さくなり、軽くなる。それに対して、温度の低い空気は収縮し、その結果として密度が大きくなり、重くなる。したがって、高温の空気には浮力が働き上昇し、低温の空気には負の浮力が働き下降する。


(中略)


したがって、海岸付近に住んでいる人は、昼は海から涼しい風が吹いてくるのを経験するはずである。この風が海風とよばれている。逆に、夜、陸から海に吹く風が陸風である。

 

 

 惑星気象学入門――金星に吹く風の謎 

 

 

 


温められた空気は上に上がり、空いた隙間を埋めるようにして冷たい空気が流れこんでくる。昼間は陸地が暖かく、夜は海の方が暖かい…だから海風は昼と夜で方向が変わるとのこと。


昔、実家で使っていたのは、水(お湯)が循環するための二つ穴のが開いているタイプの風呂釜。“穴の中を掃除するためのアイテム“ジャバ”を使うと汚れや水垢が吹き出てくるのが衝撃的だったのを覚えています。


不思議だったのは、“上はお湯なのに下の方はまだ水”というまるで“水と油”みたいな状態。夕飯の前に、子どもだけ先にお風呂に入るという習慣だったので、一番最初にお風呂をいただいてました。寒い冬など、上の方はお湯になっているのを確認してから入浴するも、下の方は冷たくてびっくり。T字型のお湯を掻き混ぜるための棒(名前は「かきまぜ棒」ですかね?)で混ぜてみるとぬるすぎて、よくお風呂を沸かし直していたように思います。


今思うと、水には温度によって軽い重いの差があり、それによって対流が起こるというのを身をもって体験した出来事ですね。


また、温かい空気は上がり、上に冷たい空気は下がる…室内のエアコン(空調)を使う際も、夏場はクーラーだけでなく、扇風機の合わせ技をした方が効率が良いという話を聞いたことがあります。よくお邪魔させていただく友人宅には、“天井扇(シーリングファン)”と呼ばれる巨大な扇風機(?)が天井に設置されていて、夏は下から上へと空気を吸引する方向で回転させ、冬は上から下へと空気を押し出すようにして使うとか。まさに空気版のかきまぜ棒といった感じでしょうか。


扇風機は風を浴びるものだとばかり思っていましたが、空気を循環させるためのものなんですね。扇風機で涼みながら、回転する羽に向かって「アー」と震える声を楽しんでいた自分がかなり愚か者に感じてくる(笑)


そういえば、部屋の空気を換気する場合はただ扇風機を回すだけではだめといった話を思い出しました。部屋を風が通り抜けるように二つの窓を開けて、窓の外に向けて扇風機を向けて使う…キッチンの換気扇のように使うと良いらしい。


密閉された部屋を快適にするポイントって滞っている空気をいかに循環(対流)させるかってことにあるようですね。部屋はきっと、昔入っていたお風呂のようにお湯と水が分離したような状態になっていたのだと気付かされた一冊です。惑星の話を読んで浮かんだのがお風呂や部屋のこと…スケールが小さい自分に気付いた一冊でもあります(^^;


ちなみに、金星って地球の“双子の惑星”と言われるほど環境(質量・密度・重力)が似ているそうな。とても過酷な状況みたいですが、地球の未来だったら怖いですね。

 

 

 

 

 

 

惑星気象学入門――金星に吹く風の謎 

作者: 松田佳久
出版社/メーカー: 岩波書店 (岩波科学ライブラリー)
発売日: 2011/08/26
メディア: 単行本(ソフトカバー)
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