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ジョン万次郎、長平、甚八…漂流者たちが流れついた「鳥島」

 

「鳥島」に流れついて、12年間、アホウドリの肉で生きのびた野村長平さん。先日、ナスD大冒険TVさんで紹介されていた江戸時代の無人島生活のお話が興味深かったです。長平さんの物語を読んだところ、ジョン万次郎さんが漂着したのも「鳥島」と書かれていました。

 

 

アメリカの捕鯨船に助けられた万次郎さんは、5ヶ月で無人島を脱出。たぶん、鳥島の脱出では最短記録ですよね。ジョン万次郎さんや鳥島について書かれた本を読みたいと思って、別の書籍もお取り寄せしました。

 

 

漂流の島: 江戸時代の鳥島漂流民たちを追う

高橋大輔 

 

鳥島の全体図や生活環境、どういうルートで流されたかなど、古い記録に記されてる資料から引用されていて、とても興味深い書籍。「遠州船無人島物語」によりますと、甚八さんという方も漂着。19年3ヶ月の間、鳥島で生活されていたらしい。1785年の長平さん、1841年の万次郎さん、お二人よりもさらに昔、1719年に漂着とのこと。長平さん、万次郎さんは土佐から流されてますが、甚八さんたちは嵐にあって九十九里浜から流れついたそうです。

 

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脱出できたからこそ、こうして記録に残っているのですよね。逆に、脱出できなかった方、記録されてない方もたくさんいらっしゃると思うと、漂流の怖さを感じます。何日も海を漂い続け、命からがらやっとたどり着いた島には誰もおらず。接岸できた船も、海岸の荒波で大破。これで助かる、希望と思ったら絶望だった展開、まるで無人島に閉じ込められる罠のような感じでしょうか。漂流者からすると、天国と地獄を同時に味わうことになる過酷な無人島ですね。

 

印象的だったのは、「土州人長平漂流日記」に記録されてる長平さんの食生活。死なないために積極的に運動するようにされていた長平さん。先日の本にも、長平さんは魚や貝も食べて、運動をしていたと書かれてましたが、もっと細かく紹介されていました。一緒に漂着した仲間たちが亡くなったのは、生活習慣病が原因かもというお話が気になりました。

 

 

長六、甚兵衛は運動不足に加え、アホウドリの肉ばかり食べ続けたことによるタンパク質過多に陥り、痛風にかかったのかもしれない。高尿酸値症は血管の状態を悪化させ、重症化すると心筋梗塞や脳卒中を引き起こして死をもたらす。

 

(中略)

 

皮肉なことに食料を十分に確保できたことは災いをもたらした。仲間を怠惰にさせ、死へと導いた。人間は満たされない部分があるからこそ生きられる。

 

 漂流の島: 江戸時代の鳥島漂流民たちを追う

 

 

先日の本では、漂着一年目、アホウドリが渡り鳥とは知らなかったために、干し肉をあまり用意できなかったとありました。この本では、1年目は80羽分だった干し肉、2年目は200羽分に増えたことで、渡りの季節の食糧問題が解決とのこと。「すると食料を探す心配がなくなったためか、洞窟でごろごろと過ごすようになった」そうです。

 

食べ物があって、することがない。あとはダラダラするしかないですもんね。無人島での欲望、楽しみは食事くらい。頭も惚けて、心身ともにだらしなくなっていく。人間は、足りないから埋めようとする、欠けていた方がモチベーションがあがるものなのかも。先日の本では、長平さんが日付をかぞえ続けた理由が興味深かったのですが、今日がいつかを忘れないようにされていたことも、生存率を高めていたのかも。

 

体を作るタンパク質は、いくら食べても害がないと勘違いしてました。お米やパンなどの炭水化物、砂糖たっぷりのケーキやお菓子などの甘いもの、糖質制限という言葉もありますし、食べ過ぎは良くないことはなんとなく。脂質の摂り過ぎは、コレステロールと中性脂肪。タンパク質の過剰摂取も、健康に悪いのですね。それに、巣ごもりで外出できず、運動量が減ることも危険。長平さんの生活、とても興味深いです。