テレビアニメ「まんが日本むかしばなし」。今でも覚えているのが「ネズミ観音」というお話。とても切ない顛末。今でも鮮明に映像を思い出せるほどインパクトがありました。
「馬になりたい」と、ネズミがお地蔵さまに願い事。一定の期間、悪さをしなければ馬にしてもらえるという約束をする。けれど、たった一度の悪事をしてしまう。それは、お地蔵さまへお供えするためにと良かれと思ってしたこと。結果、顔だけが馬になってしまうネズミ。お地蔵さまを恨みながら死んでいく。とてもかわいそうな最期でした。
原作と思われる民話。河内郡の伝説なのですね。
内容はアニメとほぼ同じ。最後の結末が少し違ってますね。アニメでは、馬の顔になったネズミが、お地蔵さまへの恨みをはらそうと、お地蔵さまの裏側に穴を掘り続けて息絶える。この本では、ネズミは懺悔のために観音像を掘ったというラストでした。
記憶に残っているアニメ。ネズミの恨みの感情が強かったですね。悔し涙を流しながら、お地蔵さまを削っている姿がとても印象的でした。
作者:日本児童文学者協会
編集委員:岩崎京子、大石真、久保喬、小暮正夫、柴野民三、渋谷清視、竹崎有斐、鳥越信、西本鶏介、浜野卓也、前川康男、黒川常幸(栃木県責任者)
装丁:司修
さし絵:宮本忠夫
絵地図:坂川知秋
もくじ
下野のふしぎ話
千駄塚(伝説・小山市)
そうめん地蔵(伝説・塩谷郡)
かなふり松(伝説・足利市)
殺生石ものがたり(伝説・那須郡)
犬を切ったお不動さま(伝説・芳賀郡)
かえってきた仏像(現代民話・下都賀郡)
まつりや正月の話
毒もちをたべたかっぱ(伝説・塩谷郡)
イモ正月(伝説・鹿沼市)
ふり面 てり面(現代民話・矢板市)
かみなりにおきゅう(伝説・上都賀郡)
山のくらし 村のくらし
山ぞくの刀(むかし話・芳賀郡)
すみ絵のネコ(現代民話・鹿沼市)
サルとよめさま(むかし話)
スズメのみょう薬(むかし話・河内郡)
いっこく金五郎(現代民話・矢板市)
武士や殿さまの話
宇都宮のつり天じょう(伝説・宇都宮市)
余一話(伝説・那須郡)
かんぴょうをうえない村(伝説・下都賀郡)
鉢の木ものがたり(伝説・安蘇郡)
大手さま、大ばらさま(伝説・足利市ほか)
なんともおかしな話
へひとつで村ぜんめつ(むかし話・芳賀郡)
火ばちにおちたかみなりさま(伝説・足利市)
馬のしりにかけじく(むかし話)
ぼたもちをたべた金仏さま(むかし話)
すいとんムジナ(むかし話)
あわれな話 かなしい話
思いの川(伝説・小山市)
オシドリ塚(伝説・宇都宮市)
馬の顔したネズミ観音(伝説・河内郡)
人を食う坊さん(伝説・下都賀郡)
茂木の千本桜(伝説・芳賀郡)
解説1 いまも生きている民話 「ふるさとの民話」編集委員会
資料 栃木県の民話地図
解説2 栃木県の民話について 黒川常幸