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器物に水を入れ敬って持つ心持也 / 願立剣術物語

 

手取り技のコツ。「型(技の形)」と「口伝(イメージ)」の関係。イメージの仕方を変えるだけで、動作の質が変化する。上達に必要な内面の観察。武術の内観技法がおもしろいです。

 

 

相手に腕をつかまれた、と思うのではなく、逆に自分が相手を持っていると思うことが大事。


両手で、水をたたえた平たい容器(相手)を捧げ持ち、それをこぼさないように、大切に扱うつもりで押し返すと、なぜか相手を崩すことができる。


師匠が敬愛する江戸前期の剣豪、松林左馬助の剣術を、孫弟子の服部孫四郎が書き残した『願立剣術物語』にも、「身の備え太刀構えは器物に水を入れ敬って持つ心持也」とある。

 

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水の入った桶を持っていると思って、自分の重心を水桶とバランスさせる。重みを感じて、自分の腕をもちあげる。水をこぼさないように、重みを振り回さない。「水」のイメージをすることで動き全体をコントロール、全身の動作を協調させる方法。

 

教わる側と教える側。弟子と師匠。技の利きに違いがあるのは、口伝の意識。見た目には同じに見えても、感じているものが別。習った技が使えない。学び始めは、形を覚えること、自分の動きに意識が集中してますもんね。

 

「器物に水を入れ敬って持つ心持也」のイメージ。剣術の達人が観ている内側の感覚。とても興味深いです。

 

ちなみに、松林左馬助さんは「夢想願流」という流派を創始された江戸初期の剣術家。相手の太刀を踏む技が得意だったそうで、コウモリのような身軽さから「蝙也斎」と徳川家光公から評価された剣豪。るろうに剣心に登場する十本刀の一人「飛翔の蝙也」のモチーフになってる方ですね。

 

 

 

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荻野アンナ,甲野善紀