有名なのは、念流(馬庭)の技法で、「敵を連れ込み、負す処を、世人俗に唱して当流のそくひ付けという。これは敵の太刀に我が太刀の米糊にて付けたる様に、外より見ゆるがゆえに、かく称するものなり」(『念流兵法心得』)
“そくひ”とは続飯と書く。飯粒を練って作った糊のことで、その強度は剛力の弁慶さえもはがすことができなかったというくらいだ。
刀と刀を合わせた状態でキープする。相手が力を入れて押してきたら、こちらは重みを合わせて相殺する技術。相手の体を硬直(引くも進むもできない・居着き)させつつ、こちらの手足は自由自在に動けることがポイントでしょうか。
柔道でいうところの「押さば回れ、引かば斜めに」という体捌き投げの極意も、一度“そくい付け”をしてからの方が有効みたいですね(以前、聞いたお話によると)。
それに、ちょっとだけ抵抗してから、ふわっと抜く感じが大切だと聞いたことがあります。続飯付けは、相手を自分の力で自滅させるコツということでしょうか。
作者:戸部新十郎 (著)