合気道の達人たちの足を見ていると、門下生の攻撃を受ける時に二、三歩も素早く足を交互に動かしています。
門下生の足はベタ足で、技を仕掛けられるまで、同じ足の位置のままとなっています。
これでは、技を仕掛けてくれといわんばかりの足ということになります。
以前、「投げられる状態というのは、自分で転ぶのと同じ」という話を聞いたことがあります。
投げ技をかけるための崩し方のポイントだったのですが、倒れないように一歩を踏み出すことができない状態を作る方法(事前作り)がとても印象的でした。
そして、技や型は練習のためのもので、投げやすい状態(姿勢、挙動、足さばき)を意図的に作っているそうですね。
だから、形の中に、歩法(足さばきのコツ)は入っていないとのこと。上記引用のくだりで、同様のことが書かれていて「なるほど」と感じました。
うまく投げが決まるときの感覚、足が動いている状態は、日常の稽古の中で口頭で伝えている。
実はさらっと何度も伝えているけれど、本当の意味(歩法の口伝)を理解できている人は少なく、形や型にとらわれずに歩ける門下生は少ないといった言葉が興味深かったです。
作者:森庸年 (著)