honn blog Diary

watching reading shopping

謎の部屋からの脱出 / 映画 キューブ

 

映画や小説の中のオチ・トリック・演出手法として、「入口が出口だった」なんてことがありますよね。中でも、とくに印象に残っているのがこのサスペンスホラー映画です。

 

 

CUBE キューブ・ファイナルエディション [DVD] 

監督・脚本: ヴィンチェンゾ・ナタリ
出演: モーリス・ディーン・ウィント,ニコール・デボアー,デヴィッド・ヒューレット,ニッキィー・ガーダグニー,アンドリュー・ミラー,ウェイン・ロブソン


気がついたら見知らぬ六面体(キューブ)の部屋に閉じ込められている。そこから脱出するために前後左右上下につながっている部屋を行き来するというシンプルな作品です。


部屋ごとに、死に至る残虐な仕掛けがあって、目を覆いたくなるような殺戮シーンばかり。結局、最初の部屋が出口へとつながっている部屋で、その場から動かなければ良かったということが判明。けれど、なぜ閉じ込められていたのか、何のための施設なのか、謎が解けないまま終わる。なので、スッキリできずに、ちょっと後味悪い。もやもや余韻が残るお話です。


これって、なんだか人生や生き方の比喩みたいですよね。動かなければ、やらなければ良かった。行動しなければ失敗や損はしなかったのに、と後から後悔。「余計なことをした」と、結果から原因を悔やむ。人からの忠告や批判に耳を貸さず、“自分ならできる”“やってみたい”という根拠の無い自信で突っ走ったあとなどとくに。

 

でも、そのときそのときの「このままでいたくない」「この場所に留まりたくない」という自己不在の強い思いに駆り立てられて、踏みとどまることはとても難しいことですよね。


それに、「今の自分は本当の自分ではない」という期待や、「自分にならできる」という過信など色々な感情が自分を後押ししてしまう。

 

結局、元の場所に帰ってくることになったとしても人は移動することを選んでしまうもの。良い勉強になったと、失敗や損を前向きに捉える。マイナスをプラスに変えられるのが人間の強さなのかもしれないですね。


クリアしたゲームの二週目。一度クリアしているので、ルールや目的を把握している。なので、最小限必要なアイテムや能力だけで進め、最短のルートで、無理、無駄なく短時間でクリアできたりする。人によってはアイテムや武器・魔法の収集といった“やり込み”で一巡目を終わらせずに大量の時間を費やす方もいますが。


もしも人生に二巡目があったとしたら、一巡目でとことん失敗した方は最短ルートで成功(その人が最も幸せと思うもの)を手に入れることができるのだと思われます。


余計なことをしないですむ。時間・空間・能力・才能・財産・金銭を求めすぎず、最小限で到達する。選ばない・やらないという選択肢を選べる。それは、出口へと向かって歩き出さない入口で留まる知恵と勇気。


ふと、すごろくにある“振り出しに戻る”ってペナルティ(罰・マイナス)ではなく、ひとつのゴールなのだと感じました。ゴールばかり求めずに、入口からそのまま出ていっても良いってことですもんね。