人間関係 境界線(バウンダリー)の上手な引き方 (DOBOOKS)
作者:おのころ心平 (著)
人間関係の問題は、距離感がトラブルの原因で、「境界線」を越えてしまっているという。そして、「あたなたのために」という言葉の意味は、本当は「自分のため」で、境界線を越えているからこそ出てくるものだそうですね。
親、ご近所、友人が口に出して「あなたのため」と言う場合は、実はたいてい「自分のため」を考えているというのが心理分析のセオリーです。
そして、「あなたのことを思って」とられる行動というのは、たいていはうまくいきません。
(中略)
こうしたことが起こるのは、善意だからいいでしょ、という建前の裏に隠れた「相手の気持ちの未確認」が原因なのです。
自分がいいと思うことは相手にとってもいいと思いこんでしまう、これを、バウンダリーを超える(バウンダリーオーバー)といいます。
この本で、とくに、印象的だったのは、カウンセリングに来た親子の話。子供に聞いているのに、親が先に答えてしまうそうですね。なぜなら、「お母さんは、無意識のうちに、子供の答えが親である自分と不一致にならないように警戒してしまうので、先に答えるのは自然な態度なのです」とのこと。
違いが怖い。自分が思っている子供像であってほしい。過保護な親は、子供を支配したい、マウントを取っていたいという心理が働いてるようですね。
子供の自我を認めたくない親、自分の自我を主張したい子供。どちらも自分を満足させたいけれど、子供は親には勝てず、親の期待した「良い子」を演じてしまうのですね。
一番の解決方法は、大人である親の方が身をひいて、こどもに一歩譲って、相手を受け入れられるようになれることでしょうか。