あんなにウケたいって思ってた時はダメだったのに、肩の力を抜いたとたんに、4回目でやっと合格を果しました。
2年前には、『R-1グランプリ』という大きな大会で優勝させていただくこともできました。これはもう本当にツイていたとしかいいようがありません。
(中略)
たまたま私にツキが回った。それも、優勝を狙うなどという野望もなければ、失うものもない、開き直った者の強さです。最初にカルチャーセンターでネタをやった時、私にはウケようという邪念はなかった。
私の芸は、大きな声の独り言なんですね。ゲラゲラ笑ってくれる人がいなくても、「うん、私も同じこと思ってた」って楽しんでくれる人がいればいい。ただあの時の自分に戻っただけ。それだけのことが、私にツキを運んでくれたような気がします。
PHPスペシャル 2004年11月号
『爆笑オンエアバトル』に三度落ちた後にブレイクを果したお笑い芸人“だいたひかる”さん。万人に受けたいという気負いが、芸をつまらないものにしていたというくだりが興味深かったです。
失うものなど無いというのは不安な状態ですが、逆に実力を発揮するにはベストの状態なのかもしれませんね。守りに入ると悪い方向に転がる、成功を意識しすぎると失敗する。
ただただお笑いが楽しかった最初の頃の気持ち…力みのない初心。ただただ芸そのものに没頭していた心…夢中になっている無心。初心&無心でいられる時期が、その人の能力を一番発揮できる全盛期なのかもしれないですね。
PHPスペシャル 2004年11月号
出版社:PHP
出版年:2004年