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絵本『うさぎとかめ (ブライアン・ワイルドスミス作品選)』

 

 

 

ウサギさんとカメさんが徒競争。勝ち目のないのろまなカメが、ウサギの昼寝によって勝利するというお話。誰もが小さい頃に読んだ(聞いた)ことがある物語だと思います。


このお話の肝は“ウサギの居眠り=油断してはいけない”ということだと思っていたのですが、改めて読んでみるとそうではないことに驚きました。


ウサギに馬鹿にされたカメは、こう勝負を申し込んでいたのです。

 

 

 

ここから おかをこえ、
いけがきをくぐり、
にんじんばたけの よこをとおり、
そのさきのふるい にぐるままで
かけっこしよう。

 

 うさぎとかめ (ブライアン・ワイルドスミス作品選)

 

 

 

物語では、生垣で草を食べ、人参畑で好物のニンジンを食べ、お腹いっぱいになったがためにウサギは眠ってしまう。つまりこれは、勝負のコース(ルート)を選んだカメの作戦勝ちといえましょう。


カメは勝算のない勝負を挑んではいなかったんですね。自分が遅いことは百も承知。だから、ウサギの“好物”で誘惑し、満腹にさせて居眠りを誘うという罠を仕掛けていた。


でも、ウサギも他の動物だったら途中で食事するなんてことはなかったでしょうね。「カメはのろまだ」と馬鹿にしていただけに、つけいる隙(油断)があった。


カメは自ら遅いことを自覚(認識)しているのでスピードで勝負せず、遅いことを馬鹿にしている相手の心の隙&弱点でもって攻略した。これって、孫子の兵法にある「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」ってことですよね。恐るべしカメさん…。


“ウサギとカメ”というお話は、ウサギの自惚れを戒めたものではなく、同じ土俵(速さ)で勝負しなかったカメさんの知恵を賞賛するものだったのだようですね。個性や能力は人それぞれ…自分の良さ(得意分野)を活かせば“人生なんとかなるさ”ってことなんだと感じる。

 

 

 

うさぎとかめ (ブライアン・ワイルドスミス作品選)

ぶん: ラ・フォンテーヌ
え:ブライアン・ワイルドスミス
やく:わたなべしげお

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