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見様見真似で覚える「ミラー・ニューロン」

 

剣術では「見取り稽古」、中国武術では「黙念師容」と呼ばれる練習法。「観る」ことがトレーニングになるという指導方法がおもしろいですね。技の「形(所作&手順)」を見て覚える。動きの「間(間合&拍子)」を見て感じる。体ではなくて頭。頭の中で再現することで上達する。

 

人の動きを見るだけでも、その動作に必要な部位の脳が働く。実際に動かなくても、動いているように神経細胞が活動するというお話。脳科学的には「ミラー・ニューロン」を活用した学習方法なのでしょうか。猿の実験が興味深いです。「猿真似」という言葉があるくらい、猿はモノマネ上手なのですね。

 

 

腹側運動前野には、サルが特定の動作、特にものをつかむような動作をしているときに活動する神経細胞が存在します。


そのサルが手を動かしていなくても、別のサルが同じ動作を行っているのを見ていると、この同じ神経細胞が活動するのです。


つまり、相手の動作を脳内でコピーしているような活動をする、ということからミラー・ニューロンと呼ばれています。

 

 心の脳科学―「わたし」は脳から生まれる

 

 

指を動かさなくても、体を使わなくても、動きを見てるだけで、勝手に脳が再現してる。慣れてくると、見なくても同じことができるのかもしれないですね。映像を思い浮かべただけで、動作に必要な神経が活発化する。想像すること、思うことが鍛錬になる。

 

以前、武術の先生から「緊張と脱力の中間」という口伝を教えていただきました。力を入れなくても、力が発揮できる状態。ジャンケンの手で説明すると、「グー」と「パー」を同時に出す感覚。グーの握り拳をしながら、パーの平手をイメージする。相反する状態、矛盾した体の使い方でも、脳内では可能なのだと勉強になりました。

 

良い動きを見れば、うまくなれる。会わなくても、道場でなくても、テレビ番組やYOU TUBE動画、DVDなど、達人の技や一流選手のスーパープレイを見るチャンスがたくさんありますもんね。見様見真似で覚える「ミラーニューロン」を活用しやすい時代。黙々とトレーニングするだけでなくて、見ることも大事なのですね。

 

 

心の脳科学―「わたし」は脳から生まれる (中公新書) 

坂井克之