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神様がサイコロを振らないのは、振る前に出る目がわかるから?

 

ジャンケンがテーマで、まるまるジャンンケン大会の物語。中学三年生の彰一くん。お姉さんが勝手に応募した大会で、負けようとしても勝ち続けてしまうのがおもしろいです。以前、カイジの「限定ジャンケン」のような小説はないかと、ジャンケンみたいなシンプルなゲームでの心理戦や駆け引きが読みたくてお取り寄せしました。

 

 

エル―全日本じゃんけんトーナメント (幻冬舎ノベルス―幻冬舎推理叢書) 

清涼院流水

 

参加者の彰一くんパート。主催者のLパート。交互にお話が展開するのですが、レイアウトで区別してあってわかりやすい。彰一くんはページの上下二段に文章。Lは普通に文章。2つの視点、変わったという区切りが明確ですね。

 

とくに印象的だったのはLのセリフ。じゃんけん勝負、勝敗の偶然性を否定するくだり。

 

 

神さまがサイコロ遊びをなさらないのは、振る前に出る目がわかってしまうからに他ならない。

 

振るときの初期状況と、タイミング、空気抵抗、転がる場所の摩擦係数…などのデータを完璧に把握していれば、それがクラ賽(決められた目がでるサイコロ)でなくても、出る目はわかるのである。

 

じゃんけんにもそれがあてはまる。

 

エル―全日本じゃんけんトーナメント

 

 

「神はサイコロを振らない」という言葉を聞いたことがあった(たしかドラマのタイトル?)ので、どういう意味なのか気になりました。調べてみると、アインシュタインさんが手紙に書いたとされる言葉で、確率論を否定するものらしい。

 

予測と結果にズレがあるのはたまたま要素(確率)が原因ではない。実験の結果がまちまち、データどおりにならないのは条件がそろってないからと、隠れた変数を指摘。つまり、すべての数値がそろっていれば「結果に偶然はない」=「神はサイコロを振らない(結果は必然)」ということでしょうか。

 

主催者Lも、じゃんけんであっても、ひとそれぞれのデータ(クセ、攻略パターン)が集まれば必ず勝てると説明してますね。でたとこ勝負。なりゆきまかせ。適当に出した手であっても、クセやらなんやら私にもありそう。

 

最後の一個を誰が食べるとか、誰もやらないことを誰がやるとか。決断をするときにしてるジャンケン。誰もが勝てるし、誰もが負ける。ジャンケンが決定方法に選ばれるのは「公平性」があるからですよね。もしも相手にクセを見抜かれていて、「ジャンケンで決めよう」と言われてたら、勝負する前から負けてたなんてこともあったのかも?今まで、そこまで深く考えてジャンケンしてませんでした(笑)