人類の進化、直立二足歩行の不思議。道具を使うために二足歩行になった説、直立するよりも以前に石器が制作されていたそうですね。サバンナで視野を確保するために立った説、森林でも二足歩行になった人類もいたらしい。二足歩行の説と、それを否定する根拠。とても興味深いです。この本で紹介されている有力な説、二段階の進化、果実との関連が印象的でした。
第一段階について、インディアナ大学のケヴィン・ハントは、果物が重要な役割を果たした可能性を指摘する。
ハントは、チンパンジーが二本足で立ちあったり、ときおり歩いたりする状況を詳細に調べ、おもに小さな木から果物を取るための行動であることに気がついた。
簡単に要約しますと、立つきっかけ、歩くきっかけ、2つの段階があったというお話です。人類は、背丈くらいの果実を食べるために立ちあがった。立つことに慣れた人類、気候変動で長距離を立ったまま移動することになった。つまり、直立二足歩行は同時にできるようになったのではなく、「直立」の進化、「二足歩行」の進化が段階的に別々という説。おもしろいです。
もしかしたら、人類は最弱の哺乳類だったのかもしれないですね。牙も爪もなくて狩りができなかった。さらに、何らの理由で木登りもできなくなった。だから、背丈ほどの果実で生活していたということも考えられますよね。
太古の人類も雑色で、肉食もしていたようですが、肉食動物の食べ残しをもらっていたらしいです。骨の中の骨髄を石で割って、中身を食べていたという内容をテレビで見たことがあります。他の動物が食べてなかった骨髄のお肉。脳に何らかの刺激があったのかも?他の動物の違い、人類だけが人間(知能・文化・文明)になれた理由が何かあるのでは?と感じます。
木の実を食べる行為が、木に支えてもらって立つ練習になっていた。だんだん支えがなくても立てるようになって、支えがなくても歩けるようにもなった。何もできないから、立って歩く必要があった。そう考えると、赤ちゃんの「つかまり立ち」が進化の名残に思えてきますね。
スティーヴン ミズン, 熊谷淳子