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示現流兵法の足さばき「寄足の法則」…『示現流兵法―史料と研究』より

 

 

 

当流では、「寄足の法則」がこれに該当する。敵に対する時の自分の脈、息、距離(間合い)、歩数の関係を示したのである。


蜻蜒打ちの遅速、寄足の遅速は数千人の敵を打臥する味であり、時を割くの教則は遅速を論じることから雲耀の教えに至るまでである。当流で最も大切であるので秘密の教えであると述べている。


法則は脈一動二足半歩が敵に向かう寄足である。二足半とは二歩半のことであり、間になおすと二間三尺に定る。

 

 示現流兵法―史料と研究

 

 

 


この本には、兵法歌(重位の和歌)や示現流組太刀絵目録、巻物など、興味深い資料(写真)が盛りだくさんですね。とても分厚い大型書籍で、読み応えがあります。


上記引用のくだりは、とくに気になった“気と呼吸の一致”に関する部分。他流派でいうところの“気剣体の一致”のことでしょうか?


示現流では「極意」のことを“味”という言葉で表現されているそうですね。なので、寄足は「蜻蜒打ちの遅速、寄足の遅速は数千人の敵を打臥する」ための極意という意味になる。示現流で有名な“蜻蛉の構え”からの斬りこみで重要なのが「脈一動二足半歩」の寄足みたいですね。

 

足の踏み方、時間と距離の把握など具体的に技法の詳細が書かれていて、動作(歩数)の時間や距離の基準が“呼吸(脈拍)”で表現されているのがとても興味深いです。秩序的・周期的に繰り返し行われる生命活動のリズムを認識するという視点が印象的でした。

 

 

 

 示現流兵法―史料と研究

作者: 村山輝志
出版社/メーカー: 島津書房
発売日: 1999/04
メディア: 単行本
asin:4882180618

 

もくじ

 

前編 史料編
第一章 東郷重位と示現流
第二章 示現流伝書
第三章 相伝目録と起請文
第四章 東郷重位の和歌
第五章 示現流根元書
第六章 東郷家関係史料


後編 研究編
第一章 示現流と近世の武術
第二章 示現流と薩摩藩の武術
第三章 東郷重位と示現流一族
第四章 重位の兵法書
第五章 示現流の技法と段位・称号
第六章 相伝目録と起請文
索引