焦国瑞氏の「気功太極十五勢」のひとつに「水中撫球」と呼ばれるものがある。
(中略)
この水中撫球でゆっくりと両腕を上下させるときに、水の中にあるボール、たとえば海辺などで使うビーチボールを沈めるイメージを用いるのだ。
イメージを変えるだけで動きが変わる。武道書ではなく気功の本なのですが、イメージトレーニングの方法が武術の練習と同じなのだと勉強になったくだりです。
水中で浮き上がろうとするボールの浮力を、相手の抵抗(体重・筋力)に見立ててできる一人稽古。武術、相手の攻撃をいなすときの腕の張り方、相手を投げるときの力の入れ方が習得できる感覚稽古。
以前、深海や泥地といった重く感じる環境の中で歩くイメージをすると、動きそのものの質が感覚的に変わるという話を聞いたことがあります。
そして、武術の極意は、抵抗を感じて調和すること、相手の重みとバランスするために、自分の身体(姿勢・重心位置)をコントロールするのがポイントというお話がとても印象的でした。
作者: 品川嘉也