honn blog Diary

watching reading shopping

晩年の宮本武蔵が伝える剣術の極意「底を抜く」 / 超訳 五輪書

 

剣術の達人、剣豪「宮本武蔵」の物語というと、幼少期から巌流島での佐々木小次郎との決闘までの印象が強いですね。この漫画は、決闘で勝利した後を描かれていて興味深い。

 

 超訳 五輪書 (ホーム社漫画文庫) (MANGA BUNGOシリーズ)

原作:宮本武蔵 漫画:近藤こうじ


巌流島以降を描いた作品は、テレビドラマ「徳川剣豪伝 それからの武蔵(主演:北大路欣也)」など、小説や映画で続編がいくつかありますね。この漫画では、それよりもさらに晩年からスタートします。主君・細川忠利のために「二天一流兵法三十五箇条」と「五輪書」を書きあげ、3人の弟子との出会い、武術指南のため極意伝授するのが主なエピソードです。

お弟子さんというと、養子だったと言われる宮本伊織が有名ですが、登場していませんね。さらに、文献資料に残っている実際に弟子だったとされるお三方ともお名前が違う。なので、「五輪書」に書かれていることをわかりやすく伝えるためのフィクション漫画(創作だから「超訳」明記?)なのだと思われます。

 

五輪書をベースにしたオリジナルの創作作品かもしれませんが、強くなるために「二刀にこだわらない」「武器や構えに執着する心を捨てる」とはどういうことか、戦いで生き残るための心理戦とはどういうものか、など、五輪書が伝えようとしている剣術奥義がイメージしやすく、面白い内容でした。


とくに、印象的だったのは、相手の戦意を喪失させる「底を抜く」のくだり。相手にトドメを刺すという行為は、「命を奪う(殺す)」こと以上に、その後の遺恨(敵討ち)を残さないように「心を奪う」ことが大事だったみたいですね。

 

f:id:hann3:20160426113956j:plain

 

これは、武道や芸道でいうところの「残心」でしょうか。もしかしたら「残心(戦場に心を残す)」=「斬心(相手の戦意を断ち切る)」なのかも?