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1年で駅弁売上を5000万アップさせたパート主婦が明かす奇跡のサービス / 三浦由紀江

 

お弁当を売っている駅の売店。その売り上げを格段にアップさせた主婦の体験談。売店店長→正社員→大宮営業所長、営業所長になった1年目で売り上げ5000万アップ。学生結婚してからの専業主婦で社会経験は一切なし、44歳から始めたパートで異例の出世をされた三浦由紀江さんの生の声が興味深い。

 

1年で駅弁売上を5000万アップさせたパート主婦が明かす奇跡のサービス

作者: 三浦由紀江(駅弁屋旨囲門・JR東日本グループ株式会社日本レストランエンタプライズ弁当営業部大宮営業部所長・NRE・旧日本食堂)

 

商売のノウハウというよりも、商人としての生き方(考え方・意識・熱意)が伝わってくるので、読んでいてワクワクしました。仕事が楽しくなる本だと思います。この本の著者さんは、以前、テレビ番組『プロフェッショナル仕事の流儀』で紹介されていた方。

 

「食べてみて自分が美味しいと感じた駅弁を自信を持って売る(仕入れる)」

 

「仕事で感じた疑問“おかしい”をそのままにしない(やり方を変える)」

 

仕事のために自分にウソをつかないこと。なぜなら、事なかれで無難な選択をしているとやる気がなくなっていくから。自分を会社の“いままで”に合わせないこと。なぜなら、周りに合わせてモンモンとしていると不完全燃焼、煮え切らないから。

 

“美味しいお弁当だからぜひ食べて欲しい”という気持ちが一番の営業力。食べたことがあるお弁当だと説得力が増す。会社からの押し付けで、お弁当を数量あわせで仕入れない。現場の声が一番の経営力、発注を行う店舗店長の自覚が増すことで、当事者意識が強くなって、他人事にしなくなる。

 

つまり、自分が感じた本音を表現していくことで良い方に転がっていったようです。大変なご苦労もされていて、上司からすると面倒な存在、正しい指摘に反論できず、口うるさくて怖いパートさんという悪い印象が広まっていたとか。

 

商品のスペックではなく、使ってみた感想や体験談、評判など、感じたことを教えてもらえると嬉しいですよね。好みは人それぞれ違うので、自分の“良い”がすべての人に当てはまるわけではありませんが、「私はこう感じます」という声が購入の後押しをしてくれるように感じます。ネットで買い物をするときも、購入者のレビューを読んで「その気」になったりしますから。

 

個人の感覚を大切にする三浦さん。それが最も反映されているのが“載せ弁”のコンセプトだと思います。幕の内弁当のような色々なオカズを集めたものではなく、丼ぶり的に一品で勝負。それは「100人に売れる特色の無い一つの弁当を作るのではなく、5人に売れる特化した弁当を20種類つくる」というもの。

 

一品で勝負する…何かに特化するには、個人の感覚(感情)が土台になっている。けれど、なんとなくの“美味しい美味しくない”“好き嫌い”ではなく、経験によって洗練された“明確(的確)な好み”がポイントになているようです。

 

それは、主婦として家族や身近な人にお弁当を作り続けたという蓄積。喜んでもらえる美味しいものを提供してきたという自分の舌(味)への自信に裏づけされたもの。

 

“継続は力なり”って言葉がありますが、行動(仕事・家事・趣味)を継続することで技術や知識の蓄積(試行錯誤)することよりも、周囲と摩擦 (独りよがりにならない)しながら「これが自分に合っている」という感覚を得られること…本音に気づけることが一番の“力(人としての魅力)”なのかもし れないですね。

 

商売って、“特別(特殊・今までに無い)な商品”を作れば売れるというものではなく、ありふれた商品の中の“特別な瞬間(こういうときには、私はこれを選ぶ)”に気づくことなのだと感じました。自分で試してみて「何を感じたか」ってことが武器になるのだと思いました。

 

でも、みんながみんな三浦さんのように“自分(感覚・感情)”をぶつけて仕事するのは難しいですね。