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学校へ行けない僕と9人の先生 / 棚園正一

 

小学校、中学校と不登校(ひきこもり)だった著者さんの実体験が元になっている物語。小学生“棚橋正知”くんは、「フツウ」であることが難しい少年だった。そして、「フツウ」に変えようと周りの大人たちがあれやこれやと関わってくるのが重荷で、心苦しく感じていた。

 

学校へ行けない僕と9人の先生 (アクションコミックス)

棚園正一 [asin:9784575845822]

 

教員、家庭教師、父親、母親…いろんな大人がいろんな思惑で接してくる。普通でいられないのは、人よりも繊細な感性を持っているからなのかもしれないですね。普通なら、立ち止まらないで済むところを、ひとつひとつ躓いて転んでしまう。

 

8人の先生は、棚橋君に希望を持たせることができなかった。漫画を描くことが大好きな棚橋君は、ドラゴンボール(鳥山明先生)に憧れる少年だった。鳥山明先生と出会い、そして、漫画家になる。

 

素敵なお話しでした。鳥山明さんに自分が描いた漫画を褒めてもらった瞬間…「生まれてきて良かった」と感じた一言に涙が出そうになりました。それに、途中、登場する様々なタイプの“先生”が興味深いですね。集団から距離を置いていた著者だからこそ感じ取ることができた「人間観察」なのだと思いました。

 

何より、漫画を描いている鳥山明さんが、一人の人間として物語に登場しているのが面白いですね。お顔はハッキリ描写されてはいませんが、どんな方なのか著者さんが感じた印象など、人間味が伝わってきました。それに、ドラゴンボールの絵も本編に登場していて、不思議な感じです。

 

ちなみに、「あとがき」には鳥山明先生ご本人さまのコメントが掲載されているのですが、“棚橋君”の例は特例(母親が知人だった)だそうで、漫画家さん宅への来訪は迷惑になるとのこと。作品の持ち込みは、出版社へ行ってくださいとの注意書きが書いてありました。